整体師歴16年。店長、エリアマネージャー、スポーツトレーナー経験を経て、ママに。FJG教育部で活躍する高橋あすかさん
今回のKA・RA・DA magはカラダブランドを支えてきた、生きた伝説“レジェンド”と呼ばれる整体師たちのインタビューをお送りします。
ファクトリージャパングループ(以下FJG)で技術研修・教育担当として後輩たちの育成に携わっている高橋あすかさんは2006年にFJGに新卒入社。整体師歴16年の経験があります。
店長、エリアマネージャーとして店舗運営をしてきた一方で、スポーツトレーナーとしては、レスリング日本女子チームの専属となり世界大会への帯同を果たした経験も。
また、最近では2015年と2017年に出産し、産休・育休を経て職場復帰。現在は2児のママとして時短勤務を活用しながら後輩たちの育成にあたっています。
いつも笑顔で、軽やかに困難を乗り越えている印象の高橋さんに憧れ、目標にしている後輩も多数います。今回は、FJGに入社したいと考える学生のみなさんや、若手の後輩たちのために、パーソナルヒストリーや、いまのお仕事で大切にしていること、これからの目標を聞かせてくださいとお願いすると、快く引き受けてくださいました。
小さい頃は、とても人見知り。でも気づけば、仕事モードに入るとほとんど緊張しなくなりました。
2006年春に新卒入社して、整体師歴は約16年になります。
バスケットボール競技を経験してきたこともあり、横浜リゾート&スポーツ専門学校でスポーツトレーナーになる勉強をしました。
当時、専門学校のカリキュラムに実習が必要で、カラダファクトリーの店舗で1週間ほど就業体験をする機会があったのですが、そのとき店舗の雰囲気がとてもよくて、すぐに就職を決めました。
実は、スポーツジム等でもアルバイト経験がありましたが、トレーナー1人で多数のお客様をみることが多いのが私としては少し違和感がありました。カラダファクトリーのインターン(実習)経験の中で、やっぱり私は、1対1でお客様に向き合うお仕事が向いているなと思いました。基本的に人が好きなので、ちゃんと向き合いたい。それなら大人数ではないほうがいいなと思ったのですね。
もともと人見知りだし、人前に出るのは苦手。
でも気づけば、仕事モードに入るとほとんど緊張しなくなりましたね。
入社してから、それまでスポーツトレーナーになる勉強をしていたことや、ストレッチ技術もできたということもあり、先輩方が「(高橋さんは)トレーナーになりたいのでしょう」と、夢を後押ししてくださいました。そのような経緯で、スポーツセクション(現KA・RA・DA Experts for sports)が出来るときに初期メンバーとして選出していただきました。
まず、カラダファクトリーみなとみらい店に配属され、その後、カラダファクトリー武蔵浦和店に新規店の店長として異動、次にカラダファクトリー新座店店長、カラダファクトリー赤坂店の新規店店長となりました。
統括店長(現、エリアマネージャー)として数店舗を統括している時も、スポーツトレーナー活動を継続し、レスリング日本代表女子チームの専属となり合宿や大会へ帯同させていただきました。
その後、2度の妊娠・出産。第2子の育休復帰時は家庭の都合で広島県にいたので、カラダファクトリー広島パルコ店で勤務していました。2021年4月から関東に戻り、教育・ES部に所属。今は新入社員と2年目・3年目の教育担当をしています。
整体師歴が長くなり、独立しないの?と聞かれたこともありましたが、私はやっぱりカラダファクトリーの仲間たちと仕事をしているのが好き。
今は、新卒入社してきた後輩たちの研修と、2年目・3年目のスキルアップ研修を担当しています。また、1年目~3年目のスタッフに対して定期的に面談をしたり、ランクアップ試験の試験官をしています。
この仕事で大事にしていることは、スタッフの雰囲気をよく観察すること。明るいテンションの時もあれば暗いトーンのときもある。後輩たちをよく観察して、何か悩んでいることはないか、すぐ気付けるように、また、私自身は話しやすい雰囲気でいるように心がけています。
スタッフとの面談では、技術面やお客様の対応のことに限らず、仕事をしていて何か困っていることはないか意識的に聞いていくようにしています。
お客様のお身体のお悩みが取り切れていないのではないかとか、こういう身体の状態の時はどうしたらよいか、または人間関係のことだったり会社の制度に関する質問だったり、いろいろとあります。時には、施術のやり方が分からないとか自信がないというスタッフがいれば、次の研修の時に教えるから来てみてと伝えることも。
人間関係や将来に対する不安があるという方には、自分自身が入社したての頃を思い返して、「まずは小さなことから頑張ってみよう」とか、自分の体験談も交えてコミュニケーションをとるようにしています。
私自身、入社直後は右も左も分かりませんでしたが、早い時期に、基本となる整体技術を習得できたこと、先輩のお客様を引き継がせていただいたこと、同時に新規客にご指名をいただいたり自分のお客様を持たせていただいたことは大きなポイントでした。
お客様のおかげでここまで続けてこられましたし、リピーターのお客様に育てていただいたという意識があります。
人と接するのが好きなので、「私を求めてご来店いただけるお客様がいる」という感覚が楽しいですし、日々「あのお客様に次はこんな話しをしよう」とかを考えていましたね。後輩たちの悩みは手に取るように分かるし、共感しすぎてしまうこともありますが、日々の中にやりがいがあるので、応援しているし、ぜひ続けて頑張って欲しいな、と思っています。
整体師歴が長くなるにつれ、以前も、お客様から、独立開業しないの?と聞かれたことがあります。でも、私自身は、同じ気持ちの仲間たちと働くのが楽しいんです。一人では寂しい(笑)。カラダファクトリーの雰囲気が好きなので、一人で開業することは考えたことはないですね。
仲のよかったスタッフの退職で、しばらく落ち込んだことも。 でも、目の前のお客様に向き合ううちに、気づけば乗り越えていました。 それが最初のターニングポイントでしたね。
新入社員時代を振り返ってみると、最初のターニングポイントは、カラダファクトリーみなとみらい店時代に仲の良かったスタッフが辞めてしまった時のことがあると思います。
一時期、なんだか喪失感が抜けなくて。そのスタッフが退職後も、関係性は変わらず休みの日に会うとか付き合いはありましたが、一緒に仕事が出来なくなり寂しさが拭えなかったんです。
でも、暫く経ち、気持ちを切り替えて目の前のお客様に向き合おうかな、と思えたタイミングがありました。当時の上司にも後から「あなたは、あの時に変わったよね」と言ってもらえました。
もしかしたら、好きなことを仕事にしていたので気づかなかったのかもしれないですが、それまで学生のアルバイトのような感覚だったのかもしれません。逆に、それ以降はプロとして「仕事」に向かえるようになった気がします。
そして、入社当時は上司がとても大きな存在。自分自身が店長になるとは、とても考えられなかった。でもそうやって「店長にはならなくていいです」と言い続けているうち、後輩が先に店長になりたいということになって、自店の店長に就任したんですね。正直言って、やりにくかったです(笑)。
だんだん、「私の方がもっと良いお店にできるのに!」という想いが芽生えました(笑)。ちょうど、新規店のオープンが控えていたこともあり、上司から「高橋さん、次、店長をやらない?」と声をかけていただけたので、ようやく「はい、やります!」と言うことが出来ました。 入社当時は、自分は店長の器じゃないと思っていたし、もともと自分に対しては自信が無くてネガティブなタイプだったんだと思います。だから、そういうきっかけがなければ、なかなか店長職に手を挙げることが出来なかったと思うので、今はチャンスをいただけて良かったなと思っています。
新規店の店長を経験、その後エリアの統括店長(現エリアマネージャー)に。 店舗の雰囲気はお客様にも伝わります。スタッフと話す時間を多く設けようと決めました。
(写真:カラダファクトリー店長時代(写真2点共に、一番右側が高橋あすかさん)
初めて店長になってからは、正直、「人のマネジメントって難しいな」と感じました。
人を育てる(人財育成)というのは、自分と同じ考えのコピーを作ることだけではなく、考え方も価値観も違うスタッフのモチベーションを管理するのはとても大変だなと感じました。
様々な試行錯誤を経て、少しずつ見えてきたのは、とにかく店舗はスタッフの「モチベーション」と「チーム作り」が大切だということ。いくつかの店舗経験を経て、今度こそスタッフとの時間を取ろう、店舗運営のことよりも、コミュニケーションを重視しようと決意。他愛もないことも含めてスタッフと話す時間を多く設けることを意識しました。
店舗の雰囲気はお客様にも伝わります。職場の雰囲気がいいこと、働き心地がいいことと、お客様が快適なお店は、必然的にお客様もついてきてくれるんですね。
極論を言うと、ご予約の時も、店舗の状況やスタッフの動き、コンディションが良くなければお断りしてでもスタッフとの時間を大事にする覚悟でした。(売上げなどの)数字はあとからついてくるものと信じ、スタッフの働くモチベーションを考えてチーム作りを強化しました。
しばらくかかりましたが、その結果、スタッフが育ってくれて、後輩たちのスキルアップも叶えることが出来て、お客様も付いてきてくださいました。その集大成として、なんとFJGの技術コンテスト「匠の技コンテスト」では店舗賞の1位を獲ることが出来ました。
レスリング日本代表女子チームの専属トレーナーとして強化合宿や世界大会に帯同。選手のみなさんは同世代の女性たち。出来るだけいつも通りに接するよう心掛けました。
レスリング日本代表女子チームへの帯同/カラダファクトリー会報誌の特集(写真を一部加工しております)
カラダファクトリーみなとみらい店時代から、週に2回ほどスポーツトレーナーとして活動を続けていました。中学校の女子バレーチームや、プロのアメフトチームに帯同。
その後、2010年から4、5年間、結婚し妊娠するまでの期間、先輩の帯同先を引き継ぐ形で女子レスリング日本代表チームの強化合宿や、海外遠征、世界大会に帯同していたことがあります。
実際のケアは、基本はカラダファクトリーのお店で行っている施術と同じですね。それから第一印象って大切ですから、いつも笑顔で話しやすい雰囲気でいることなども一緒です。
あとは、練習前のテーピングやストレッチ、ケア、リハビリ中のケアやトレーニング、練習中はずっと選手たちの練習中の動きや様子を見ているのですが、どこか怪我をして痛めていないか、無理をしていないかと気づくこともあります。また、練習後はアイシングやケア、シャワーなどで休憩後はじっくりケアルームで施術。
みなさんトップアスリートとして素晴らしい偉業を成し遂げてきた方ばかりですが、それでも同世代の女性として出来るだけ普通に接していました。数日後に大きな試合を控えている方ばかり。だからこそ、出来るだけ緊張させないように、普段通り、明るくポジティブに接することを心掛けましたね。
ずっと間近で、努力している選手たちを見ていて、メダルを取って喜んでいる姿を見ると、こちらまで涙が止まらないほど感動してしまいます。
選手たち自身が、100%の力を出し切れて、結果につながって喜んでいる。そういう姿を見ていると、本当に感動しますし、やりがいを感じる瞬間です。
今は、幼い子供がいる家庭環境的に、なかなか合宿帯同などは難しいですが、本心ではいつかトレーナーとして求めてくださるのであれば、いつでも駆け付けたい!という気持ちです。いつも、選手のみなさんのことを応援しています。
つらい悪阻や産後の体調不良を経て、初めて分かった慢性的な身体の不調。ママになり、感受性が豊かになったと思います。
(写真:プライベートでは2児のママとなりました)
プライベートでは2児のママ。第1子が小学1年生の男の子、第2子は5歳の女の子です。
今は、保育園に子供を預けてから出勤し、9時-17時の間で時短勤務をさせてもらっています。
今までの感覚からいうと、勤務時間が短くなったので、実はもどかしくて、もっと仕事したいと感じることもあります。でも、一方で子供に対してはもっと遊んであげたいという気持ちもあるんですよね。
私自身の変化をお伝えすると、両親のおかげで、今までとても丈夫な身体だったので、慢性的に具合が悪い状態がよく分かっていなかった。それが自分自身の妊娠・出産で初めて体調不良になり、ようやく色んな方のつらさに心から共感できるようになりました。
妊娠中は、悪阻がひどいタイプ。妊娠初期から、出産直前までずっと悪阻で、陣痛と嘔吐を繰り返していましたし、赤ちゃんが生まれるまで吐いていたというくらい。妊娠期間ずっとだったので、慢性的なつらさ、ずっと体調が悪い、頭が痛いとか、身体が動かせないというつらさを初めて知りました。
私は、自分でも割と我慢強いタイプだと思いますし、白黒はっきりしないグレーというのが苦手で、適当にこなすということが出来なかった。仕事が大好きだし、目の前にお客様がいらしたら何としてでも接客・施術に入ります。そういった事情だったので、妊娠安定期に入る直前に早めに休みに入らせていただきました。
産後も、背中が張りやすいというのは、こういうことか!ということを実感。女性の身体の変化を当事者になって初めて分かったところがあります。
心境の変化は、最近では、子供との関わりの中で、2人の兄妹(きょうだい)を見ていて、より感受性が豊かになったのかなと思いますね。スタッフの話を聞いていても色々と伝わってくることもあるし、共感することが増えてきました。
整体師としては、子供が生まれて、頭蓋骨の縫合などを触ってみて人間の身体ってこういう風に出来ているのかと、そのダイナミックな変化と成長に、改めて感心することばかりです。
得意なメニューはレッグ(美脚)のコース。 お客様の身体を触れば分かる。下半身のアプローチは得意中の得意です。
得意なコースは、レッグ(美脚)コース。毎日歩くから、お客様も変化を感じやすいと思います。カラダファクトリーみなとみらい店時代から、若い女性のお客様で今まで何の靴を履いても靴擦れがひどくてなかなか合わなかったのに、私の調整後、色々な靴が履けるようになったと言ってくださる方もいました。客室乗務員のお客様で、下半身がどうしてもつらいとおっしゃっていた方が、すっきりして着衣のサイズ変わって嬉しいと言ってくださったり。
整体コースの調整をして、趣向を変えて下半身のアプローチをしてみると変わるケースもあります。あとは、もみほぐしも好きです。骨格調整でスッキリ感があっても、ボディケアが大事です。
しっかり、そのお客様に合ったコースを提案するのが得意ですし、私がこの方にはオイルトリートメントが合うなと思ったらコース変更を提案します。だからこそ、自分がオールマイティにすべての手技ができないとダメだなと思います。そのほうが、お客様に合わせて色々ケアできますよね。
お客様のお悩みをケアできる店舗の仕事は、楽しいですね。教育の仕事をしていてもたまにお店に戻りたくなることがあります。
若手の後輩たちへ伝えたいこと。 仕事をするのなら、楽しんでやるほうがいい。 自分で選んだ仕事を楽しんで。
若手の後輩たちと接していて伝えたいのは、楽しくやろう。ということ。
仕事を楽しくやるのも、つまらなくやるのも自分次第。それなら楽しんでやる方が良いと思うんですよね。私は、そもそも、楽しいことが大好き。
後輩たちの顔を見て、落ち込んでいたりすると思わず笑わせてあげたくなってしまいます。
お客様でも、落ち込んでいるような方には、「よーし、ひと笑いさせよう!(笑)」という意気込み。
もともと、自分に自信がなくネガティブな性格でしたが、FJGに入社して、お客様の接客をしているうち、気づいたら自分が成長できていて、ポジティブに考えられるようになりました。
お客様がつらい状態のとき、お客様にはプラスの言葉をかけてあげたいとき、自分がネガティブではそれが出来ないですよね。お客様と接するうち、だんだん人間性も磨かれると思うんです。
日々、1つ1つ小さな努力を続けていけば、今までやっていたことが間違いじゃないと思えるし、それに伴って自分の役職も上がってくるし、任せてもらえることも増えてきます。
みんなそれぞれ、色んな夢や目標をもっていると思いますが、スポーツトレーナーになりたいとか、世界大会に帯同したいとかもそうですが、小さい積み重ねが繋がっていった延長でしかないと思うんです。ひとっ飛びに出世したいとか、ある日技術が出来るようになったとか、いきなりご指名が増えるとか、そういうのは普通、ないですから。
チャンスボールを見つけたら、拾うのは自分。 周りで支えてくれる方はたくさんいます。 今は、後輩たちのために、働きやすい環境を作りたい。
私自身は、基本、夢や目標を立てるのが苦手です。
以前は、女性は結婚したらお仕事を辞めることが一般的だったと思いますが、私としては、女性で結婚しても、子供を産んでも整体師として働きやすい環境を作りたいと思っています。
だからこそ、私は働き続けています。以前私が入社した時代では、先輩や、同僚の中には技術や接客がとっても上手でたくさんのお客様がついているのに、結婚するからとか妊娠したので辞めますということがありました。今は、だったら私が開拓しようと思います。目標という訳ではないですが、私も後輩たちのためにもっと働きやすい環境を作っていきたいと思います。
そして、諦めず頑張っていれば、自分の「やりたいことを応援してくれる人はいる」ということを伝えていきたいですね。
後輩たちとの面談では、話を聞いているうち、共感したり、叱咤激励したり。
私自身、感受性が豊かになったこともあり、心に沁みてくることもありますが、最終的には「さあ、頑張ろう。私は、みんなにこの仕事、ずっと続けて欲しいな」と伝えています。
頑張っていない人にはチャンスボールもないし、フォローもない。
私も、ひとつひとつ、努力して、声に出してきたからこそ、結果的に協力してくれる人たちがいて、今の立場があることを実感しています。
チャンスボールを見つけたら、拾うのは自分だけど、周りで支えてくれる方はたくさんいるってこと。自分が頑張れば、応援してくれる人がいるってこと。後輩たちには、それを伝えたいですね。
高橋 あすか
横浜リゾート&スポーツ専門学校卒業。カラダファクトリーみなとみらい店配属。その後、2009年カラダファクトリービーンズ武蔵浦和店店長、カラダファクトリーイオン新座店店長、カラダファクトリー赤坂店店長、統括店長(現エリアマネージャー)。その間、学生バレーボールチーム、実業団のアメフトチーム、女子レスリング日本代表チームの専属トレーナーなどで週2回程度のトレーナー活動を兼務。 2015年と2017年に産休・育休を取得し、2019年カラダファクトリー広島パルコ店で復帰。 2021年4月、FJG本社 教育・ES部へ異動し、新卒入社スタッフの教育担当となる(現任)。 FJG整体師ランクは、エグゼクティブボディトレーナー。
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